選ばれる管理会社の条件⑤

 業績が上がらない、管理戸数が伸び悩んでいる…、悩みを抱える全国の賃貸管理会社様をご支援させていただくと、ある問題が共通していることに気がつきます。会社の規模は大小さまざまですから、これは賃貸管理業全体の特徴でもあるのでしょう。日々の業務は真面目にこなしているのに業績が上向かないのはなぜなのか? 今回は「選ばれる管理会社の条件」について考えます。

<管理業務の明確化>

 選ばれる管理会社について考えるのも5回目。これまでお伝えした中には「できていて当然」と思われる内容もあったかと思いますが、しかし、その当たり前が多忙を理由にできていない会社を、私はコンサルティングの現場で数多く見てきました。

 中には、戦略構築や情報発信、社員教育といったものの以前に『管理業務の明確化』が終わっていない会社も少なからずありました。そうした会社は結果として、オーナーに自社の魅力を伝えられません。そもそも何をしてくれる会社なのか、管理を任せるとどんなメリットがあるのかを正しく伝えられないのです。

 今回は、自分たちの強みをオーナーに正しく伝えるという「当たり前」の第一歩、『管理業務の明確化』について考えます。

<対価の妥当性>

「何でもお任せください」は、営業において実に頼れるセリフです。しかし、実際に「何でも」請け負っていたら管理ビジネスが破綻してしまう以上、いずれ「何でも」と約束したオーナーにも「できません」と言うことになります。「何でも営業」は管理を取りやすいかもしれませんが、管理が離れるのも同じくらい簡単です。

 営業において大事なのは、サービスと対価、そのバランスに納得したうえで契約してもらうこと。皆さんも、日常の買い物で常にこのバランスを意識しているはずです。人は「対価に見合っている」と判断してはじめてモノやサービスの購入に至ります。管理を委託するオーナーの思考も、この原則から外れることはありません。無理に「何でも」と言わずとも、サービスが価格に見合ってさえいれば、オーナーは貴社と管理契約を結んでくれるはずなのです。

 ただ、問題は、対価と比較するサービス内容、つまり「管理業務内容」が不明瞭な場合です。確かに、管理会社の業務範囲は「何でも」と言いたくなるくらい広大ですが、提供されるものが明確でなければ、オーナーは「管理料○%に見合っているか」の判断がつきません。判断がつかなければ、契約に躊躇するのは当然です。

 なればこそ、管理業務の明確化は、管理受託営業の基本であり「選ばれる管理会社」の大前提なのです。競合他社より管理料を安くしているのに契約が取れないケースは、もしかしたら提供業務が明確でないことに原因があるかもしれません。

<「コスパ」を高める手段>

 人は価格の妥当性から購買行動を起こすと書きましたが、購買行動を促進する方法があります。それは「コストパフォーマンス」の意識を刺激することです。

 管理料が同じなら、より多くの業務を代行してくれる管理会社、つまり「コスパの良い管理会社」を選びたくなるのは当然の心理です。管理業務をオーナーに明示する際は、管理メニュー表にできるだけ多くの項目を並べ、コスパの良い会社だとアピールしたいものです。

 ただし注意したいのは、安易な”値引き”や”過剰サービス”によってコスパを演出してしまうと、利益率の低下やビジネスの破綻を招きかねない点。価格は業務内容と、それに必要な経費(主に人件費)から慎重に設定するべきです。他社に負けまいと値下げを敢行する経営者も多くいらっしゃいますが、価格優先でスタッフに無理をさせれば、コストは残業代や退職・採用費として跳ね返ってきます。価格を下げてコストが上がったのでは本末転倒でしょう。

 とはいえ、人件費をまともに算入すると「割安感のない価格」になりがちなのも事実です。そこで検討したいのが、ITやアウトソーシングの活用です。

 両者に共通するメリットは、人を雇うよりも安い金額で業務を完了させられる点、そして、彼らに業務を任せている間に、自社スタッフを売上作りに集中させられる点です。人件費が下がって営業機会が増えるなら、管理料を下げることも検討可能。無理せずコスパの良い価格を提示できるようになります。

 加えて、IT(たとえばRPA)はミスなく24時間365日仕事をこなし、アウトソーシング(たとえばコールセンター)は専門家集団が業務を担いますので、サービス品質の向上も見込めます。

 明確化された管理業務に魅力的な「売り」があり、価格と品質、双方からアプローチできる管理営業は強力です。外部の力を上手に活用し、自社のコストパフォーマンスを高めたいものです。

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