賃貸管理会社における、アウトソーシングの判断基準

業績が上がらない、 管理戸数が伸び悩んでいる…、悩みを抱える全国の賃貸管理会社様をご支援させていただくと、ある問題が共通していることに気がつきます。会社の規模は大小さまざまですから、これは賃貸管理業全体の特徴でもあるのでしょう。日々の業務は真面目にこなしているのに業績が上向かないのはなぜなのか? 今回は「アウトソーシングの判断基準」について考えます。

■外注検討の際の3つの基準

 賃貸管理会社にとって、管理実務をすべて自社でやる(内製化する)べきか、アウトソーシング(外注)するべきかは、議論の尽きない永遠のテーマでしょう。できる限り自社でやってこそ管理会社、という会社もあれば、積極的なアウトソーシングこそ管理会社には必要、と考える会社もあります。斯く言う当社はというと、これまでの原稿を読んでらっしゃる方はご存じのとおり、アウトソーシングを推奨する立場です。なぜなら、適度なアウトソーシングは社内の生産性を高めるだけでなく、働き方や離職率の改善なども期待できるメリットの多い選択だからです。

 とはいえ、アウトソーシングにデメリットがないわけではありません。安からぬ費用をかける以上、外注する際にはそれに見合った効果を得られるかどうかをじっくりと検証する必要があります。最終的な判断には、対象業務の向き・不向き、外注コストと人件費の比較、そして双方のメリット・デメリットの比較が欠かせません。

■生産性による判断

 外注を検討する際にまず判断すべきは、その対象業務の生産性です。生産性が高い・利益を生みやすい仕事は社内に留め、利益につながりにくい仕事は外部に任せる、これがアウトソーシング活用の基本となります。管理の実務の中では、集金管理や入居者対応が外注しやすい業務の代表となるでしょう。やらなければならないが、売り上げに直結するわけではない、こういう仕事ほどアウトソーシングに向いています。

■人件費との比較

 次に、コストの比較です。仮に入居者対応を外注するのであれば、そのコストは内製化した際の人件費と比較します。管理戸数が1000戸であれば、入居者対応人員は二人程度でしょう。各人の給与が25万円なら二人で50万円、そこに福利厚生、入居者対応に割く仕事の割合を加味すると、おおよその人件費は56万円程度と試算できます(図1)。この金額より安く外注できるのであれば、まずはやる価値のあるアウトソーシングだと判断できるでしょう。

■メリット・デメリットの比較

 最後に長所・短所の比較です。それぞれの特徴を理解したうえで「会社として何を優先すべきか」を判断すべきです。

 引き続き、入居者対応の外注を検討するとします。内製化のメリットとしては、下記のことが考えられます。

  1. すべて自社で行なうことによるオーナーへのアピール
  2. ノウハウが社内に蓄積される
  3. 社員の頑張り次第で対応数が伸びる

上記のように、社内の成長がそのまま業績に反映される点も評価できるでしょう。

一方のデメリットとしては、下記が考えられます。

  1. 社員がいつでもどこでも電話対応に追われる
  2. 社員の退職でノウハウが失われる
  3. 社員のモチベーション維持が難しい
  4. 社員教育が難しい・時間がかかる
  5. 生産性が低い、などが挙げられます。

 業績アップのカギを社員の成長や頑張りが握っているにも拘わらず、管理獲得のための時間を作れない、教育が困難、退職のリスクが高い、といった特徴を抱えている点は、もしかしたら内製化の最大のデメリットと言えるかもしれません。

 ではアウトソーシングはというと、内製化とまったく逆です。デメリットこそ自社で対応しないため社員の入居者対応力が伸びない、対応数や品質は外注先次第、といった点が挙げられますが、メリットは社員が売り上げを作る仕事に集中できる、人が辞めても情報が残る、教育に時間を取られない、生産性の高い仕事にリソースを割ける、と内製化のデメリットを十分にカバーします。この中で注目すべきは、やはりメリットは「社員が売り上げを作る仕事に集中できる」「教育に時間を取られない」でしょう。人件費より安く外注できた時点で全体のコスト軽減は達成できますが、社員を「利益獲得」のために頑張らせることができれば、外注の効果はさらに高まります。外注によって生まれた時間で200万円のリノベーション提案ができれば、15%としても30万円の利益。生産性の高い仕事は、社員のモチベーションアップにもつながります。

■管理会社の本来の姿とは

 冒頭に書いたように「自社でやってこそ管理会社」という考えもありますが、管理会社の本来の姿とは、やはり「オーナーの資産の最大化」のための提案ができてこそではないでしょうか。そのためには、社員が提案するための「時間」をいかに創出し、いかに効率的に使うかが重要です。お金と同様、時間も有限です。コストダウンだけでなく、どれだけ生産性の高い時間を生み出せるか、という点でも内製化と外注とを比較検討するべきでしょう。

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