最大コストのコスト!「人件費」の使い道

 業績が上がらない、 管理戸数が伸び悩んでいる…、悩みを抱える全国の賃貸管理会社様をご支援させていただくと、ある問題が共通していることに気がつきます。会社の規模は大小さまざまですから、これは賃貸管理業全体の特徴でもあるのでしょう。日々の業務は真面目にこなしているのに業績が上向かないのはなぜなのか? 今回は「利益の出る管理」について考えます。

<撤退か、改善か>

 ここ数年、管理会社の増加を肌で実感しています。新たに管理事業を始めた会社もあれば、管理会社を起業された方も沢山いらっしゃいます。賃貸不動産経営管理士の資格者も順調に増加していると聞きますし、もし「宅建業法」ならぬ「賃貸管理業法」が制定されれば、この勢いはさらに加速するでしょう。

 しかし一方で、せっかく賃貸管理事業に参入したにもかかわらず、2〜3年で撤退してしまう会社も少なからずいらっしゃいます。管理受託営業が思ったように進まない、管理が取れても収益がなかなか増えない、収益は少ないのに社員の労働時間ばかり増えていく…。悩みは会社によってそれぞれですが、もとより管理は多忙・薄利のイメージがあります。一室数千円の管理料に比べれば、賃貸仲介や売買による手数料収入は眩しく見えることでしょう。『もっと儲かる事業に注力するべく撤退する』という判断も、分からないでもありません。

 ですが、私としては、やはり管理からの撤退よりも『利益の出る管理』への改善を目指してほしいというのが本音です。土台作りに3年かけたなら、まさにここからじゃないですか! 今回は収益性を確保しながら管理ビジネスを進める方法を考えてみましょう。

(1)サービスの定義

 管理事業の収益性を高めるには、まずはサービスと管理料との定義をすることです。「管理料5%ならここまでやる」「そのサービスは7%でなければやらない」など、自社の提供するサービスと料金との関係を明確にするのです。

 当然のことのように思えますが、この業界では「無償管理」も珍しくありませんし、仲介手数料があるからと「赤字管理」をしているケースも散見されます。この状態を改善せずに「管理は儲からない…」と嘆いてはいないでしょうか。収益性を改善したいなら、時には管理会社側から『管理を離す』という決断も必要です。管理メニューを確定し、労働に見合った正当な報酬を受け取るべきです。

(2)判断基準の統一

 サービスを定義したなら、次は社内の認識の統一が必要です。オーナーの要望を叶えるのが管理会社の仕事ですが、いつの間にか『言われたことは何でもやる』になっていないでしょうか。多少の譲歩は必要としても、過剰な要求にノーと言わないと、結局は「赤字管理」に転落してしまいます。会社として『ノーと言っていい基準』を示し、社内に浸透させる必要があります。

 これも当然のことのように思えますが、社員は会社の後ろ盾なしには、なかなかオーナーに「ノー」と言えないものです。オーナーのワガママに振り回され、疲弊した社員は退職し、利益はほとんど出ない…、そんな悪循環は会社の力で断ち切るべきです。

(3)コスト削減/営業強化

 最後は、コストを削って営業力を強化することです。もっとも効果が表れるのは、会社内の最大のコスト、つまり人件費の使い方の改善です。まずは、社員にやらせるよりも安価にできる業務と、社員を使って収益を生み出したい業務とを抽出します。そして人員を再配置し、収益を生み出しやすい体制を作り上げるのです。

 多忙・煩雑な管理業務のすべてを高額な人件費でこなそうとすれば、収益も出ないのに社員だけが疲弊していく状態に陥ります。それならば、社員は管理受託営業やオーナー面談といった収益性の高い仕事に特化させ、雑務は人件費の安いアルバイトや外部の専門業者に任せる体制を作るべきでしょう。これまでの方法を変える、社内にあった仕事を外部に任せる、といった変化はハードルが高く感じるものですが、事業の収益性を改善するには、働き方を変化させる勇気を持つことも必要です。

 幸い、管理業界ではここのところ、アウトソーシング活用事例が増えています。入居者からの入電対応、退去立会の代行のほか、物件巡回の代行や、中には契約書作成やシステムへのデータ登録といった事務作業を代行してくれる業者もありますので、検討してみるといいでしょう。

 以上、3つの収益改善策を提示しましたが、どれを実行するにも少なからぬ変化が必要です。しかし、現状維持の先にあるのが袋小路であるのなら、いずれどこかで撤退か方向転換かの選択を迫られることになるでしょう。赤字管理の維持は、撤退より避けるべき状況です。変化をリスクと捉えるのではなく「収益改善の機会」と考え、受け身の管理から攻めの管理へと転換していただけたらと思います。

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